総入れ歯でイカなどが食べにくいのは何故でしょうか。
先日、患者様よりご質問頂きました。
私は訪問介護をしているのですが、ある利用者さんの家族が用意したお寿司を食べさせたところ、イカが好きだと言うので渡したら、噛みきれなくて出したのです。もちろん義歯です。
疑問なのは義歯の問題なのか、それとも咀嚼の力の問題なのか、疑問に思いました。どちらにせよ、今後この利用者様にはこの様な食べ物は誤嚥に繋がりかねないので、進めない事を事業所に報告しました。
由里子先生、どう思いますか?
訪問介護をされている方の生の声です。
イカは義歯でもっとも難しい食べ物の一つです。咀嚼ではなく、義歯の問題だと思います。
おそらく、歯は真っ平らで、溝がないと思います。
天然の歯には、溝がありイカやお肉など弾力があるもの、レタスなどのお野菜など繊細な食べ物をすりつぶし、美味しく頂くことができます。
しかし、しばしば患者さまの総入れ歯の歯を見てみると、実際の歯の大きさよりも面積が小さく、飾りのような溝が入っているか、真っ平らかどちらかです。
これでは、噛み切ることはできません。
解決方法は2つ。
1つ目は、ご家族のかたに、イカに刻みを入れて差し上げてくださいとお伝えください。細かく隠し包丁のような感じです。そうすれば召し上がれると思います。
咀嚼はきちんとできるはずなので、ミキサー食にしてはいけません。食べる喜びがなくなってしまいます。
2つ目は、総入れ歯であっても、天然の歯と同じように溝を作ること。また、歯ぎしりをした時でも外れない義歯であること。
という条件がクリアできるような入れ歯を使うことだと考えます。
当院で使用している人工の歯は、総入れ歯であっても、溝がついており、天然歯と同じように、食事をすることができます。
もし、総入れ歯で好きな食べ物を美味しく頂くことを諦めている方がいらっしゃいましたら、一度ご相談にいらして頂きたく思います。