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上下顎同時印象法による総入れ歯の型とりについて

前回のブログでは、上下顎同時印象法による総入れ歯の歴史〜木製の入れ歯〜についてお伝えしました。

今回は、具体的にどのような方法で上下を同時に型とりを行うのか、についてお伝えさせていただきたいと思います。

1. 精密な型とりを行うAccu tray

スタディーモデル用トレー1 スタディーモデル用トレー2 スタディーモデル用トレー3 スタディーモデル用トレー4 スタディーモデル用トレー5 スタディーモデル用トレー6

総入れ歯製作の第一段階となる型とり(スタディーモデルと言います。)は、その後の最終的な入れ歯の設計に大きく影響しますので、できる限り正確な型とりが必要です。

上顎・下顎とも、顎の形はもちろんのこと、様々な情報を明瞭にコピーする必要があります。唇の動く範囲や舌の動き、すべての筋肉の情報などにも注意してコピーします。このようにしてコピーした情報を模型にすることが、質の高い総入れ歯を作る第一条件となります。

2. 上下顎同時印象法を行うためのトレーの製作

個人トレー(上下顎同時印象法を行うためのトレー)の製作1 個人トレー(上下顎同時印象法を行うためのトレー)の製作2 個人トレー(上下顎同時印象法を行うためのトレー)の製作3 個人トレー(上下顎同時印象法を行うためのトレー)の製作4 個人トレー(上下顎同時印象法を行うためのトレー)の製作5 個人トレー(上下顎同時印象法を行うためのトレー)の製作6

次に、最初に型とりを行った模型を元にして、患者さまに合ったオーダーメイドのトレーを製作します。上顎は、口の周りの筋肉や舌の状態を型とりする必要があるため、あらかじめイメージしながら製作します。

この時、フェースボウトランスファー(入れ歯が体の軸にたいして垂直になるよう記録する道具。※1)を用います。そして、ゴシックアーチ(顎の動きの記録。※2)や上下の噛み合わせの記録、型とりを同時に行えるように準備をしておきます。

3. 上下顎同時印象法

上下顎同時に型採りするための材料は、大昔の木製の入れ歯の時は蜜蝋(ミツロウ)を用いていましたが、昨今は新しい材料が開発されたため、非常に正確に型とりを行うことができるようになりました。

すべての作業は集中して5分ほどで行われます。

鼻で呼吸できますので、息ができないということはないのでどうぞご安心ください。

上下顎同時印象法1 上下顎同時印象法2

患者さま自身の筋肉の力で、口元を尖らせたり、口角を引いたりしていただきます。この動作により、唇の位置、口角の形まで記録することができます。そして最後に、一番大切な動作として

「嚥下(つばを飲む動作)」

をしていただきます。この動作をすることで、口の中は陰圧となり、患者さまが普段、食事をしたり、唾液を飲み込むときの筋肉の動きが、記録されることになります。

型とりの材料が固まったところで、再びフェイスボウトランスファーを行います。大切なことは、型とりの中心とフェイスボウの正中を正確に一致させることです。上下同時に型とりした記録には、頰の筋肉や舌が動いている状態が再現されていることが確認でき、さらに唇、舌の形など多くの情報を得る事ができます。これらすべての情報は、最終的な入れ歯のクオリティーに大きく影響します。

※1 フェイスボウトランスファー

フェイスボウトランスファー

人間の体は、左右前後にバランスが取れている必要があります。どこか一ヶ所でもバランスが崩れて不均衡が生じると、その歪みは体の様々なところに影響します。そういった骨格筋のアンバランスが原因となって、慢性的な肩こり、腰痛、頭痛などが生じることもあります。

それは歯並びにおいても同様なので、体の軸から頭頂まで真っ直ぐ伸ばしたラインを基準にした歯科医療が必要です。この作業に用いるのが「フェイスボウトランスファー」で、患者さまの体の中心を咬合器という機械に再現します。

このように作成された模型によって、入れ歯の左右の傾き、スピーの湾曲(横からみた入れ歯の湾曲)、ウィルソンカーブ(正面からみた入れ歯の湾曲)などの診断が可能になり、正確な診断と治療につながるのです。

※2 ゴシックアーチ

ゴシックアーチ

ゴシックアーチとは、個々の患者様の「顎の動きの出発点」を探すために行われます。顎を前方や左右に動かしていただき、バランス良く動いているかどうかを確認する工程でもあるため、総入れ歯製作には欠かせない記録です。

    このように、上下別々に型とりを行うのではなく、上下を同時に型とりをすることで得られる情報は沢山あります。

    失った歯や骨の状態を全て再現することで、美しい口元と噛みあわせを兼ね備えた総入れ歯を製作することができるのです。

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